『まつもとゆきひろ コードの未来』を読んだ

同僚に借りて読んだ。

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雑誌の連載をまとめたものであり、テーマに一貫性はなく、広く浅く様々な話題を扱っている。

出版が2012年だから、内容は古い。CoffeeScriptが紹介されていたり、NoSQLに対する評価がかなりポジティブだったり。
しかしそれは問題とは感じなかった。
単にその時点での最新技術を紹介するのではなく、どういう文脈でその技術が出てきたのか、なぜその技術が注目されているのかを、紹介しているからだと思う。
そういう知識は無駄にはならない。

ウェブやITの世界は変化が激しいけど、過去からの流れを無視した全く新しいものが出てくることは稀で、流れのなかで新しいものが生まれてくる。
前の世代の技術が土台になっていたり、その時代の特定の課題を解決するために開発された技術だったり。
目新しい技術でも、必ずそこに至るまでの文脈がある。

そういう文脈を知っていると、新しい技術を学びやすい。理解が捗り、キャッチアップしやすい。

また、世の中に存在する様々なプログラマ向けの言説も、過去の知識を持っていることを前提にしている。
新しい技術の説明を、過去の技術との比較で行っていたり。
過去の知識を持っていることが前提に話が進んでいく。

プログラミングの世界は変化が速いため、歴史が積み重なる速度も速い。既に分厚い「歴史」が存在する。
当然に知っているとされる「共通言語」が膨大すぎる。
そしてそれらを持っていないと、勉強することすらままならない。
暗黙の前提になっている知識が多く、それを使って自分で行間を補完していかないといけない。
勉強しようと思って記事や書籍を読んでも、共通言語が不足しているから、そこに書かれていることが全く理解できない。

だからプログラマとしてレベルアップしていくためには、「共通言語」や「歴史」を獲得するのが大事なんだと思う。

本書は、実務では得にくいそういった知識を補完していくのに役立つと感じた。「共通言語」を学ぶための取っ掛かりの一つになる。

だから、この書評が自分の感想に近い。
「まつもとゆきひろコードの未来」 | おごちゃんの雑文

「それ以上のレベル」になるための「導入」、という表現はしっくり来る。

GCDSLmemcached、などを扱っているが、ちょうどいい浅さである。
実際のコードや図を使いながら、かいつまんで紹介していく。

知識そのものが手に入るわけではないが、知識を検索するためのインデックスがいくつか出来るような感じ。
勉強を進めていくための多少の土地勘が生まれる。

連載の再構成だから、若干、ちぐはぐした感じはある。重複した内容があったり、前の節で出てきた用語の説明が次の節にあったり。
だが気になるほどではなかった。